アレルギー性鼻炎は、アレルゲンになる物質を吸い込まないようにすることが効果的な予防方法です。ただしアレルゲンを完全に除去することはできません。医師と相談しながら、無理せずできる範囲のことからはじめましょう。
共通した注意点
どのアレルゲンによるアレルギー性鼻炎でも、共通して注意すべき点がいくつかあります。
バランスの取れた食事と適度な運動
適度な運動はストレス解消にも役立ちます。ただし、水泳は鼻粘膜を刺激するケースがあるため、症状が悪化するようでしたら中止してください。
湿度管理
室内の乾燥や過湿はアレルギー症状を悪化させます。湿度は50%程度が一番望ましく、室温は20~25度が理想です。
タバコの煙を避ける
禁煙はアレルギー症状を緩和させる効果があります。受動喫煙にも気を付け、外出先でもできるだけタバコの煙を避けるようにしてください。
部屋のアレルゲン除去
密閉性の高い現代の住宅には、ダニ、カビ、ゴキブリ、動物のフケなどのさまざまなアレルゲンが多く存在しています。効果的に除去するためには、こまめな掃除が基本になります。
除去しやすい環境を整える
カーペットや畳、布張りのソファなどはハウスダストを取り除くことが難しいため、できるだけ避けてください。おもちゃなども、木やブラスティックでできたものであればホコリがつきにくく、安心です。カーテンはこまめに洗濯できるものを使うか、ブラインドに替えることで花粉が付着しにくくなります。
掃除のポイント
ホコリの多い場所は、濡れ雑巾か化学雑巾でホコリを取ってから掃除機をかけましょう。ホウキやハタキを使うとホコリが空中に舞い上がり、除去が難しくなります。掃除機をかける前には窓を開け、排気が窓の外に行く位置からかけはじめるとホコリが舞い上がる量を軽減できます。
水回りのポイント
カビの生えたものを放置せず、すぐに捨ててください。水回りは掃除の後、水気をできるだけ取って、除菌します。忘れがちな冷蔵庫内の除菌も週に1度程度行ってください。
寝具などの扱い
シーツ、布団カバー、枕カバーなど、洗濯できるものは毎週、たっぷりの水を使って洗濯します。布団は週に2回以上日光にしっかり当てて、掃除機をかけてください。日光に当てられない場合には、布団乾燥機を使ってから掃除機をかけます。
エアコンと空気清浄器
エアコンと空気清浄器は、フィルターのホコリをこまめに取り除いてください。また、エアコンを数日以上使用していなかった場合、最初に換気モードで10分程運転させ、その後に冷房や暖房を行うようにしましょう。
花粉症
花粉をできるだけ吸い込まないようにすることで、花粉症の症状は軽減できます。そのためには、上手に花粉を回避し、除去することが重要です。外気にできるだけさらさないことが重要なので、ハウスダスト除去とは注意したいポイントがいくつか変わります。
飛散時期を知る
花粉が飛散をはじめる少し前に花粉症治療を受け始めることで、症状を抑えられることがわかっています。そのためには、ご自分のアレルゲンになっている植物の飛散時期を知ることが重要です。
神奈川県の花粉飛散時期と治療開始時期の目安
- 2~5月 スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ 1月中旬から下旬に治療開始
- 4~8月上旬 カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリ 3月中旬から下旬に治療開始
- 8月~10月 ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ 7中旬から下旬に治療開始
他にもたくさんの植物がアレルゲンになります。それぞれ花粉の飛散時期は微妙にことなりますので、医師と相談してアレルゲンの植物に合わせて治療を開始しましょう。
飛散が多いタイミングや場所を避ける
晴天時(特に雨上がり)と強風時
温泉やゴルフ場などの山間部(スギなど樹木花粉)、土手や空き地(樹木以外の花粉)
庭など家周辺に生えている雑草も花が咲く前にできるだけ抜いておきましょう。ブタクサは特に、どこにでも生える雑草ですから、注意してください。
洗濯物や布団干しについて
飛散時期にはできるだけ外干しをやめましょう。外干しした場合には、取り込む前によく叩いて花粉を払落し、電気掃除機をかけて花粉を取り除きましょう。
部屋の換気
窓やドアはしっかり閉め、外気が入ってこないようにします。空気清浄器を使うのも効果的です。換気をする際にも、短時間にとどめ、換気後は窓周辺を濡れ雑巾が化学雑巾で掃除しましょう。
掃除のポイント
ほうきやハタキを使うと花粉が空中に巻き上げられて床に落ちてくるまで長い時間がかかり、掃除による除去が難しくなります。
掃除機は排気が花粉を飛ばしてしまうため、濡れ雑巾や化学雑巾などであらかじめきれいにした場所に置いて、そこから先に進むようかけていきます。長時間過ごすリビングや寝室は特にこまめに掃除してください。
外出時の注意点
玄関に、大きな袋を用意しておきましょう。(帰宅時にコートなどを入れます)
マスク、帽子、花粉避けメガネなどを着用しましょう。
花粉を払落しやすい生地のコートを羽織ってください。
室内に入る際には、コートを払って花粉を落としましょう。
帰宅時の注意点
玄関に入る前に、コートや帽子、髪などを払って花粉を落とします
玄関に入ったら、コート、帽子をとって袋に入れる。コートや帽子を部屋に持ちこむと、そこについた花粉で症状が出てしまいます。特に寝室には入れないようにしてください。
うがい、洗顔の後、鼻をかみ、目を洗いますが、できればシャンプーして、髪に付いた花粉を落としましょう。
昆虫の粒子
水辺に多く発生するユスリカの死骸の粒子や、庭木などに発生するガ・チョウとその毛虫のりん毛、りん粉、死骸の粒子によるアレルギーの場合、花粉症と同様の予防方法が有効です。
飛散時期を知る
5~7月の初夏から梅雨にかけて、そして10・11月の秋に飛散のピークがあります。対策方法は花粉症と同じです。
防虫対策
サクラやツバキ、柑橘類など、ガ・チョウとその幼虫が好む庭木を避けましょう。
また、灯りのカバーには昆虫の死骸がたまりますので、こまめに外してきれいにしてください。なお、紫外線を発生させない灯りは昆虫が寄りにくいので、それに取り替えるのも有効です。
ペット対策
室内に浮遊する動物のフケや抜け毛に含まれる唾液の粒子などを吸引してアレルギー症状が起こります。原因となる動物を飼わないことが一番の予防法です。症状が軽く、家族として過ごしてきたペットで手放すことが難しい場合、医師と相談して、こまめな掃除やアレルゲンが付着しにくい環境、リビングや寝室などに入れないようにするなど、症状に適した対策のアドバイスを受けてください。
持ちこまないようにする
家族が外で動物と触れ合ってきた際には、帰宅後の着替えや手洗い、入浴などをしてもらい、部屋にアレルゲンを持ちこまないようにします。
訪問者が持ちこむことも考えられるので、来客があった際には念入りに掃除しましょう。
また、毛皮や羽毛などを使った寝具や衣類等を避けてください。