子どもの中耳炎が多い理由
中耳炎にかかるのは、10歳以下の子どもがほとんどですが、これは子どもの耳管が太くて短く、耳と鼻の位置が水平にあるため、上咽頭の細菌などが鼻から耳管を通って中耳に侵入しやすいなどの理由があります。子どもが中耳炎になりやすい要因を以下でご紹介します。
耳管の構造や耳と鼻の位置による問題
子どもの耳管は大人と比べて太くて短く、耳と鼻が水平の位置にあるため、感染を起こす細菌などが中耳に侵入しやすい状態です。そのため、風邪やインフルエンザで鼻や喉に炎症が起こると、そこから細菌やウイルスが中耳に入り、感染して炎症を起こす中耳炎になりやすくなっています。成長に従って、耳管は細く長くなり、耳は鼻より高い位置に移動するため、中耳炎にかかりにくくなります。
鼻水がうまくかめない
鼻水をうまくかめないと鼻の奥に鼻水がたまり、それが耳管を刺激して炎症を起こしやすくなります。
集団生活
幼稚園や保育園など、集団生活では風邪などの感染症にかかりやすく、それによって中耳炎にもなりやすくなります。
アデノイドの肥大
アデノイド(咽頭扁桃)は3歳頃から大きくなり、6歳をピークに少しずつ小さくなっていきますが、肥大している乳幼児期にはそれが感染源になって中耳炎になりやすいとされています。なお、12歳くらいになるとアデノイドは消失します。
未発達な免疫
乳幼児期には大人に比べ抗体の量が少なく、免疫が未発達です。急性中耳炎を引き起こす細菌に対する抗体が不十分なことも多くなっています。免疫に関しては2歳までは個人差があり、それを過ぎると個人差が縮まっていきます。
子どもがかかりやすい中耳炎の種類
急性中耳炎
耳管を通じて中耳に細菌やウイルスが侵入して感染し、炎症や膿がたまるなどを起こす病気です。鼻や喉の炎症に伴って起こる場合が多く、風邪などが治りかけた時に症状が現れたら、急性中耳炎の可能性があります。進行して鼓膜の一部が破れ、耳から膿が出てくる耳だれを起こしてはじめて急性中耳炎になっていることがわかるケースもあります。
集団保育を受けていると風邪やインフルエンザなどの感染が起こりやすく、それによって中耳炎の再発を繰り返して治りにくくなってしまうことが多いので注意が必要です。
滲出性中耳炎
急性中耳炎の治療を途中でやめてしまったり、風邪などで耳管の働きが悪化して滲出液の排出ができず、中耳腔の換気が十分に行えないと中耳に液体がたまってしまいます。この状態が滲出性中耳炎です。子どもの場合、症状をうまく訴えられないため、検診などで見つかることもよくあります。
子どもの中耳炎を早く見つけるために
中耳炎の自覚症状は、聞こえにくさや難聴、耳の奥の痛み、発熱、耳だれです。こうした症状を幼い子どもはうまく伝えることができません。そこで保護者の方が様子をしっかり観察してあげる必要があります。下記のような様子に気付いたら、一度、耳鼻咽喉科を受診してください。
- 呼ばれているのに返事をしない
- テレビなどの音が大きい
- 話し声や歌声が大きい
- 急に不機嫌になって激しく泣くことがある
- 耳をよく触るようになった
- 寝つきが悪い
- 鼻水や発熱などの風邪症状がある
- 顔を傾ける
ちょっとでもお子さんの様子がおかしいと感じたら、気軽にご相談ください。こうした変化に気付いて受診された場合、ほとんどのケースで中耳炎などが見つかっています。
中耳炎では耳が聞こえにくくなる症状があり、難聴の原因にもなっています。気付かずに放置していると生活のいろいろな場面での学習機会を逃してしまいます。耳の状態を正確に把握して、適切な治療を受けることは情緒の成長にも大きく関わってきます。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
また、完全に治さないと慢性化しやすくなってしまいますし、風邪などで再発することもよくありますので、以前治療を受けていても様子の変化に気付いたら受診してください。